後藤研究室 GOTO Laboratory
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当研究室ではインターネットに代表される現在のコンピュータネットワークにおける課題を明らかにして、将来のネットワークの姿を明らかにするための研究に取り組んでいます。

  1. ネットワークの測定
  2. ネットワークの運用状況を人間が直接に目視することは出来ません。何らかの測定ツールを用いる必要があります。単にパケットを可視化するだけでは膨大なデータが見えるだけですから、データの表現方法に工夫をする必要があります。実際にネットワークの測定をしてみると、幾つかの課題が明らかになります。

    ネットワークにおける品質制御(QoS: Quality of Service)
    インターネットでは原則としてパケットは平等に扱われます。実際には画像・音声をリアルタイムに伝送するパケットを優先する必要があります。このためにバックボーン・ネットワークにおいてはDiffServなどの優先制御技術が使われてきました。現在ではアクセス・ネットワークにおいて、例えば無線LANのアクセスポイントにおける優先制御法が課題になっています。
    不正侵入やウィルスによる異常なトラフィック
    ネットワークの測定をすると 平常時と異なる症状を発見することがあります。不正侵入やDoS (Denial of Service)アタック、ウィルスなどを効率的に発見するには、広域にわたる観測網 を整備することが大切です。また不正なパケットの性質だけではなく、ホストや ルータが不正な侵入やアタックを受けた際に、どのような反応を示すかを予め調 べておき症状から原因を探る方法を活用する必要があります。
    spam対策
    応用プロトコルに属するテーマとして、スパム(spam)メールの対策法を研究しています。世の中では、メールの内容によりベイズ判定する方法が普及しています。ここでは、spamを送信する方法が通常のメールサーバによるものと異なる点を利用して、メールサーバにおいて施すべき対策を重点的に研究しています。
  3. ネットワークアーキテクチャ
  4. 現在のインターネットは、世界的な規模で稼働しているのですが、幾つかの課題を内包しています。今後のネットワークの姿を明らかにするためには、現状の問題点を明らかにする必要があります。

    経路制御の課題
    ルータがパケットを転送する際には経路制御表を参照します。その表はルータ同士の情報交換によって自動的に計算されます。このルータ同士の通信を分析しますと、不安定な経路が多数含まれていることがわかります。不安定な経路によりルータ間の通信が増大しますから、経路を安定に保つことが重要です。後藤研ではIPv4の経路制御、IPv6の経路制御の両方を分析してきました。
    DNSの課題
    経路制御と並んで重要な役割を果たすのがDNS (Domain Name System)です。今日のインターネットではDNSを抜きにして機能を語ることができません。後藤研では、DNSを拡大する方法として多言語ドメイン名の標準化に貢献してきました。またIP電話の電話番号をDNSを用いてURIに変換する技術(ENUM)を積極的に応用してきました。
    アドホックネットワーク
    従来のインターネットは分散型のネットワークと言 われていますが、論理的な管理が集中しています。これに対してアドホックネットワークは分散化が徹底しています。それだけにデータの転送の方法、DNSに相当する名前解決の課題、実際の機能や性能の確認など、これまでの固定的で集中的なネットワークに比べて多くの課題があります。従来のインターネットにおける研究成果を踏まえて、アドホックネットワークの諸課題に取り組み始めています。
    RFIDの活用方式
    RFIDはIDの情報を持つだけです。これを活用するにはIDに対応したデータベースを利用する必要があります。これまでのRFIDの利用法は、流通課程や製造者、生産者による活用でした。これを家庭の利用者の立場で捉えると種々のデータベースに散在する情報を、家庭において管理することができれば便利です。そこでIPv6によるIPアドレスの付与、そのアドレスに対応したドメイン名を与えるという工夫により、RFIDをインターネットの世界に定位させることを考えています。

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